KIKORI

私達はRainbowをしっている

一番カリスマティックな友人

現在ポルトガルをベースにしているママ友が、双子の娘たちをロンドンの大学に送った後、ローマに会いに来てくれた。彼女の夫はある国の次期大統領になると言われている人で、夫のいる国に帰ると、ボディーガードが何人もつく、有名な政治家の妻である。

彼女と会うと何が楽しいかって、とにかく「思いっきり」オシャレができることだ。ファッショニスタであり、私のスタイルを理解し、褒めてくれる人であり、また彼女の大胆なチャレンジにはいつも刺激を受ける。

昨日も彼女はプラダの白の、ダッドスニーカーどころではない、ごっつごつのミリタリーブーツを、愛らしいシフォンの黒ミニドレスに、黒の革ジャン、またその上にバーバリーのレインコートを羽織って、待ち合わせのレストランに、Lady Diorの白いバッグを持って現れた。

私は毎年プラダでスニーカーを購入するのだけど、今年はどうしてもシンプルなのが流行りではないらしく、気に入るものを見つけられなかった。なのに、こうやって、彼女がミリタリーをかっこよく、でもフェミニンに着こなすのを見ると、「明日またプラダ見てみようかな」という気にさせてくれる。

彼女が主催するパーティーによばれると、メイクも服も「そこまでやっちゃう?!」ぐらいやっても、会場に行けば、丁度よかったりするから、とにかく楽しい。

そんな彼女も子育ては終了し、「娘の部屋には入れない」と涙を流した。今私のまわりは、自分も含めて、みんなそういう人生の節目を迎え、ちょっと呆然としている人が多い。子供に振り回されることすら、”楽しい”と思ってやってきた子育てなのだから、旦那がいようが、いなかろうが、同じようにガクっとくる。

彼女の息子も私の息子と同じでバルセロナ在住で、もう一人の息子はブラジルのサッカーチームにレンタルされた。「で?何で一人でポルトガルに残っているの?」と聞いたら、真昼間からボトルワインをガンガンオーダーする彼女は、「夫は政治家。女が多い。国に帰れば、私はその女たちに弱みを見せないどころか、”相手にもしていないわよ”と言わんばかりに、堂々と笑顔を振りまかなければならないの。大変なのよ。女達を殴ってやりたくなるわ。でもジェラシーなんて見せたら相手の思うつぼだから。でもね、疲れちゃうの、やっぱり。心が。だからね、離れて元気を取り戻すために、ポルトガルの家は残したの。」と。

「ブラジルに行った息子はね、夫と2年間ほど住んでいたから、見ているのよ、色々。それである日「ママはとにかく人生楽しんで。」と言われて。その意味が分かって。」と。家族愛も夫婦愛も互いにすごくあるのだけど、人生ってシンプルじゃないのだなぁ、と思う。人間のサガというか。

彼女は言った。「”家にいるのが好き”っていう人がいるけど、あれ、やっぱり鬱だと思う。」と。色々な考え方はあるけど、私は彼女よりな思考の持ち主かも。だから私は言った、「常にコンフォートゾーンから出て、自分に刺激を与え、フレッシュ感とか輝きをメンテナンスしなきゃいけないと思う。だからレストランも、買い物も、少しファッションとか気合を入れていかなきゃいけない場所を選び、目が肥えている店員やカメリエーレ達の厳しいジャッジメントで自分を高めていくのも必要だよね。」と。

「その通り!」と彼女はハイファイブをもとめた。もちろん落ち込む時間も、自分をみつめる時間も必要だが、とにかくアラフィフ世代は、もともと落ち込みやすいところにいるのだから、自分のモチベーションを上げていく方法とそのメンテナンスというのを、しとかないと、こうやって久しぶりに会ったときに、「どうしたの?大丈夫?」と自分では何もないのに、心配されることになる。

5か月ぶりに会った彼女に座ってすぐ「彼氏できたんでしょ!」と言われたから、私はその「キラキラ」を自分が思っている以上に、保てているのだな、と、ホッとした。「まだ。」と言ってから、今度はアモーレの話題で1時間はすぎる。まるで「ピラティスのクラス行ってきなさい」というぐらいのノリで「セックスしてきなさい」とこの人に何度言われたか・・。っていうか、ラテンの男女に言われないことがない。

で、最後はいつも同じで、「でも、歳を重ねたら、名誉とか物とかお金よりも、家族とか友情が本当に一番大事になってきて、本当に人生がシンプルになっていくよね。」で終わる。むしろ、ここが分かっていない人に、私も彼女も、時間を費やさない。

食事の後、来週のレッドカーペットのイベントのためにドレスを用意しなきゃいけない、と、お買い物に付き合い、「主役」になることが絶対条件の彼女が選ぶドレスは、「それ?!」と思うほどToo muchに見えるのだけど、彼女が着ると、しっくりきてしまう。そこに、これでもか!ってほど派手はジャケットを店員が勧め、これまた似合ってしまう彼女に、私はすごく興奮した。地味なデザインを派手に着こなし、派手なデザインをしっくりみせる、というのが、私のファッション哲学だから。

「私も色々ある。だからお互いこれからも頑張りましょう。また12月頃にローマに来れるようにするから、ミアモール。バモス!」と彼女は言い、夫の待つ国へと旅立った。

なんて楽しくて、刺激的で、Soulfulな日々だったのだろう。彼女と会った後はいつもこの気持ちになる。

12月には息子も娘もイタリアへ帰ってくる。私にとって一番厳しいジャッジは彼らだ。容赦なく感じたことを、さらっと(多分これまた、”無意識に”)言ってくる。最後に息子に言われたのは「マミーここ何年も歳をとっていないね。」娘には「マミーと家のエネルギーって、クリーンで綺麗。」と。もちろん、嬉しいから、「変わらないね」と言われるよう努力をしている。

年を重ねるとね、変っていないということは、変わっているってことだから。

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刺激と愛と知性のシャワーをありがとう