KIKORI

私達はRainbowをしっている

20年ぶりの再会は、感動の答え合わせ

20年ぶりの友人に会いにマルセイユに行ってきた。飛行場で会うなり、この再会が夢でないことを確認するかのように、私達はものすごく強く抱き締めあった。

20年も経ったのに、互いに「変わってない」と思う、あれは何なのだろう。しわもシミも増えたはず。たるみも明らかなはず。20年間の間に髪型や色だって変えてきたのに、たしかに、再会した今、自分の髪型も20年前といっしょだった。

フランス人の彼女は、ファミリービジネスを経営する女社長であり、夫も娘夫婦も、みな彼女の会社で働いている。病気ではない限り、仕事をし続けた彼女が、私が来るからと、初めて休みを取り、家族や社員たちは唖然としていたらしい。

20年前会った時は私達も若かったから、自分たちの夢をいっぱい語った。今回49歳の彼女と46の私は、子供の頃や親の話、夫婦、子育ての話、手に入れた幸せの話、つまり自分たちががむしゃらに生きて、今にたどり着いた話を、数日間朝の4時までコースで語りつくした。

幼時、暴力、怒鳴りあいばかりだった親も離婚し、ベッドも買えないほど貧乏だった彼女は、幸せな家庭をもつことが夢だったそう。19歳の時に、倒れかけているお父さんの修理工場をある日、突然任せられたが、それは税務署のチェックが入り、自分が捕まるのから逃れるために責任を全てなすりつけられただけの話だった。

工場をなんとか立てなおすことができれば、破壊寸前の家族を守ることができるのでは、と、とにかく一人で朝晩働いたらしい。そのうち恋人だった今の旦那さんも手伝ってくれることになり、結婚し、娘を二人儲けた。

早い話、親や兄は働きもせず、利益が出ればそれをとってしまい、5年前に縁を切り、元の家族を守ることはできなかったらしいが、自分の今の家族だけは、自分が死ぬ気で守る、と、それで30年間一度も休みをとったことがなかったみたいなのだ。

今では、広すぎる庭がある、全て自分でデザインした大きな美しい家に住み、娘夫婦たちにも家を建て、それぞれにメルセデスベンツを買い与え、会社も拡大し、新しいビルを建てた。彼女夫婦のパッションは昔からそうだったけど、車で、とにかく悲鳴をあげたくなるほどスピードをだす。地下のガラージには白いランボルギーニが駐車してあり、旦那さんが大切にピカピカに磨いている。

こう書くと、「成金」に聞こえるかもしれないが、家と車以外は、ほとんどお金をかけないことに、正直驚きを隠せなかった。「幼時真冬お湯も出ない家だったの。だから家族が安心できる家は絶対で。服やバック、宝石に興味ないの。でも車だけは私達のパッション。ちゃんとメンテナンスされた安全な車を家族に運転してもらいたい。」と、成金からほど遠い。

ディナーはお城の中にあるレストランに連れて行ってくれた。旦那はワインに詳しく、でもそれは高いとか有名ワインと言う意味ではなく、ソムリエも顔負けな知識を持っている。20年前私にGigondasを勧めたのも彼。今回は白のTalbotを。「好きなんだ。興味があるんだ。」と。

私は人生「好き」であることを大切にしてきた。だから私の子育ても、好きなことをみつけ、好きなことをやって生きてほしいと、それだけを言ってきたのだけど、彼女は「あなたと私は10代で会った頃から、変わらない。「好き」が軸になって生きている。」と言った。好きであれば、どんな壁にぶつかっても、頑張れるんだよね。好きだから、何とかしようとする。バカにされることも、恥だと思わない。「無理だよ」と何度言われても、自分のこととは思わない。そうやって私も好きを全て手に入れてきた。

彼女は20年たって、成功して、高飛車になっててもおかしくないのに、愛の量が考えられないぐらい増えていた。話せば話すほど、海の底より深い愛を感じる。その彼女が最後「あなたは間違えていない。」と言ってくれた時は、これまでの疑問が解けたかのように、私は彼女の胸元で、子供のようにワンワン泣いた。

「私Burnoutした」と言えた。ずっと認めたくなかったことなのだと思う。私は彼女の愛には絶対に甘えない。だって本当に助けてくれることを知っているから。

Backgroundも、国もライフスタイルも全てが違う彼女と私。なのに「私達は人生の価値観が同じ。」と彼女が言った。そして笑いながら「私達みたいな強い女は大変ね。でもね、守りたいものは絶対守れるから。」とウィンクした。

強がっていたわけではないのだけど、張りつめていた何かはあったみたいで、それが膿が出るように一気に流れ、今やっと「じゃ、傷口がくっつくのを待とうか」と本気で休むことを決心した。

今朝起きたの10時半。

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久々の夜のフライト。私の心もキラキラで溢れている。感謝しかない。